終活、エンディングノート、老前・生前整理…。老いる前、旅立つ前に準備を済ませて、快適な老後を過ごしたいという人が増えている。
葬儀について“決着”しておきたければ、「生前葬」という手がある。生きているうちに葬儀をあげ、お世話になった人たちに直接感謝の気持ちを伝えたい、通常は残された家族が行うセレモニーに自分の意思を反映させようと考える人がいても不思議ではない。
とはいえ、大多数の人は“死後”に親族が葬儀を行うこととなる。そこで、どのような葬儀をしてもらうか、考えておく必要がある。
葬儀環境問題が身近なニュースとなる昨今、葬儀業界においても“地球にやさしい葬儀”が取り上げられるようになった。自分なりのこだわりとして、残された人と地球環境の双方に感謝を込める「エコ葬儀」とはどういったものなのか。
実はこのエコ葬儀、推奨している業者は多く、これといった定義付けがされている葬儀サービスではない。ただ、共通認識とされているのは、木製に比べてCO2排出量が少なく、燃焼時間が15分と短い紙製の「エコ棺」を用いること、そして売上の一部を森林再生事業のために寄付することなどである。火葬率が100%近い日本において、紙製の棺の需要は高そうだ。
なお、紙製の棺は強度が気になるところだが、棺の形状を工夫したり、内部を補強して形が崩れないようにしているという。
遺体を液体窒素によって乾燥凍結させ、灰のように細かい粒子にした後に埋葬する「フリーズドライ葬」など、旅立ちの置き土産をできるだけ少なくする取り組みも存在する。こうした主旨に賛同する葬儀社や葬具メーカー増えてくれば、棺以外のエコ葬儀製品の開発もさらに進むだろう。
終活とは、自分がいなくなったことで残された人間が困らないようにする“引き継ぎ”ではない。安心して旅立てる準備を早めに整えることで、充実した“いま”を過ごすためのものだ。
人生最後の決定事項、早めに準備を始めておいても損はないだろう。
(筒井健二/5時から作家塾(R))