やがて訪れる「死」を、悔いなく、幸せに感じつつ迎えるには、
日頃からの積み重ねが大きいもの。
そのために誰にでも今すぐ実践できることに、「言葉」がある。
それも「お別れ作法」の一つである。
身近な人の死への恐れを癒し、
あなたの人生の学びを深める言葉のいくつかを紹介しよう。
言葉は相手を救い、自分を救う
お別れの作法とは、何も別れが間近に迫った時にだけ必要なものではありません。
やがて誰もが訪れるその日を、幸せを感じつつ迎えられるのか、そうでないかは、日頃からの経験の積み重ねによるところも大きいのです。
その日にそなえて、どんな方でも今からすぐに実践できることに、「言葉」があります。
多かれ少なかれ、どなたにも経験があると思いますが、言葉の使い方一つで会話の流れがガラッと変わります。私の職場である医療現場でも、患者さんとのちょっとした言葉のやりとりで全体の雰囲気が変わることがあります。言葉は重要な存在なのです。
言葉の使い方一つで、人間は自分と相手の生きる活力を増減させることができます。それが「言葉は言霊(ことだま)」と言われる所以です。
言葉は相手を救うこともあれば、自分自身を救うこともあります。
やがて訪れるお別れの時に心残りのないよう、幸せに感じられるよう、日頃から心がけておきたいものです。
ここでは、私が日々の体験から特に大切だと感じている言葉を紹介したいと思います。使うことで「お互いを幸せにすること」ができるのなら、この世に生きる上でこれほど素晴らしい経験はありません。
東京大学大学院医学系研究科救急医学分野教授および医学部附属病院救急部・集中治療部部長。
1981年、金沢大学医学部卒業。その後、麻酔科を皮切りに救急・集中治療、外科、内科、手術部などを経験。1999年、東京大学大学院新領域創成科学研究科環境学専攻および工学部精密機械工学科教授。2001年より現職。
2011年、初めての著書『人は死なない』(バジリコ)が7万部を超えるベストセラーとなり、話題となる。