新型コロナウイルス感染拡大前の業績に回復しつつある航空・鉄道業界。円安の影響でインバウンド(訪日外国人観光客)による収入は大きく増えているが、定期券利用などビジネス利用の落ち込みもある。特集『2025年「倒産ドミノ」勃発!?倒産危険度ランキング【上場434社・最新版】』の#13では、航空・鉄道業界の倒産危険度ランキングを検証。“危険水域”にランクインした21社の顔触れを明らかにする。(ダイヤモンド編集部 田中唯翔)
インバウンド増も円安は「もろ刃の剣」
航空・鉄道21社の倒産危険度ランキング
旅客需要の回復は継続しており、航空・鉄道業界は増収傾向にある。
例えば東日本旅客鉄道(JR東日本)が10月31日に公表した2025年3月期第2四半期決算は、営業収益は前年比7.3%増の1兆3951億円。運輸、不動産、流通、ホテル事業で増収増益となり、4期連続の増収を記録した。
航空業界も同様だ。ANAホールディングスは同期決算で売上高1兆0995億円となり、上期として過去最高を更新。新型コロナウイルス感染拡大の収束に伴うインバウンド(訪日外国人観光客)の増加が追い風となり、ビジネス利用の落ち込みをカバーした結果だ。
しかし、憂慮すべき点も存在する。来年1月に発足する米トランプ政権下で円安・ドル高が進めば、航空業界では海外旅行客の減少は避けられない。加えて、25年3月期の営業費用(予想)を300億円増に修正したANAホールディングスのように、為替の変動による営業費用の増加も見込まれる。
さらにもう一つ懸念材料がある。金利の上昇だ。航空機や鉄道車両・施設など、大規模な設備投資を必要とする航空・鉄道企業は有利子負債が大きい。そのため、金利が上昇すれば経営に与えるダメージも甚大だ。
不動産事業者としての側面を持つ阪急阪神ホールディングスや東急などの鉄道会社は、金利の上昇に加え、人件費や建設費の高騰を受けて、大きく収益が悪化する恐れもある。鉄道と不動産の両事業でダブルパンチを食らい、苦境に立たされるシナリオも考えられるのだ。
では、足元の航空・鉄道各社の業績はどうか。ダイヤモンド編集部は航空・鉄道業界の倒産危険度ランキングを作成。その結果、21社が“危険水域”に入っていることが判明した。
次ページで、航空・鉄道業界の倒産危険度ランキングを明らかにする。JR東日本、東急がワースト10入りしたほか、ANAホールディングスもランクインした。