陸運業界ではトラックドライバーの時間外労働を規制する「2024年問題」が表面化し、変革を迫られる企業が続出。一方の海運業界は、コロナ禍の空前のバブルも終息し、各社はさらなる成長に向けた“かじ取り”が求められている。特集『2025年「倒産ドミノ」勃発!?倒産危険度ランキング【上場434社・最新版】』の#14では、陸運・海運業界の倒産危険度ランキングを検証。“危険水域”にランクインした17社の顔触れを明らかにする。(ダイヤモンド編集部 田中唯翔)
増益を支えるコンテナ船運賃は下落中
陸運・海運17社の倒産危険度ランキング
海運業界にはまだまだ追い風が吹いており、各社の業績は好調だ。海運大手3社の2025年3月期第2四半期決算の売上高は、日本郵船が前年同期比12.7%増の1兆3168億円、商船三井が前年同期比14%増の9006億円、川崎汽船が前年同期比18%増の5380億円と、“順風満帆”の結果になった。
25年3月期の予想純利益は、上方修正した商船三井(前年比34%増)をはじめ、日本郵船(前年比70%増)、川崎汽船(前年比130%増)とも前年比で上振れる見通しだ。イスラエルとイスラム武装組織ハマスの武力衝突の長期化などにより、夏期にコンテナ船の運賃が上昇したことが増益につながった。
しかし、コンテナ船事業による増益は長くは続かない。海上コンテナ運賃の代表的な指標であるSCFI(上海輸出コンテナ運賃指数)は11月8日現在で2331を付けている。今年最も指数が上昇した7月5日から約1402ポイント下落しており、運賃は下降傾向だ。戦争の影響を考慮して在庫を前倒しで仕入れていた米国・欧州での輸送需要が落ち着いたためだ。さらに下落が進めば、純利益が予想を下回る可能性もある。
一方の陸運業界は、働き方改革関連法によるトラックドライバーの年間960時間の時間外労働の上限規制や人件費、燃料費などのコストの上昇もあり、経営を取り巻く環境は厳しい状態が続く。そうした理由から大小問わず多くの運送会社によって、生き残りを懸けたM&A(企業の合併・買収)が多発している。
では、足元の陸運・海運各社の業績はどうか。ダイヤモンド編集部は今回、陸運・海運業界の倒産危険度ランキングを作成。その結果、17社が“危険水域”に入っていることが判明した。
次ページで、陸運・海運業界の倒産危険度ランキングを明らかにする。海運最大手、日本郵船のグループ企業もランクインした。