人口が大きく減少していく
日本の競争力の「実態」は?
私たちは、ビジネスパーソンとして、企業の競争力について日頃から喧々諤々の議論をしている。「今後、うちの業界はどう変化していくんだ?」とか、「競合他社の最近の動きはどうなってるんだ?」とか、「わが社の新製品開発は進んでいるのか?」といった具合である。
それが、国の競争力となったら、真剣で徹底した議論を聞くことは滅多にない。例えば、スイスのビジネススクールIMDが毎年発表する「世界競争力ランキング」において、最新の2024年版で、日本は67カ国・地域の中で過去最低の第38位にランキングを落としている。これを聞いて、過去の栄光への哀愁やある種の焦燥感を一瞬の間は抱いても、どこか他人事になってしまい、すぐに忘れ去ってしまう。
そんな日本の国としての競争力なのだが、今後の人口の観点ひとつとっても、なかなか一筋縄には見通すことができない。
国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(令和5年推計)」における中位推計によれば、2020年の人口約1億2600万人が、50年後の2070年に約8700万人(2022年から▲3900万人)、100年後の2120年には約5000万人(2022年から▲7600万人)へと減少していく。
たとえば、東京都の現在の人口が約1400万人なので、今後50年間で日本の人口が3900万人ほど減るということは、東京都がほぼ3つ減るということであり、現在の東京・大阪・名古屋の三大都市が蒸発するほどのものである。
もちろん、人口減少は東京・大阪・名古屋を中心に進むものではなかろうが、人口減少のインパクトの大きさが感じられる。日本の国としての競争力について、踏み込んだ議論をすべきタイミングになってきたといえよう。