やたらと現場に口を出す上司
また、外国人観光客向けに、英語や中国語、韓国語のPOPも設置され、インバウンド需要に特化した売り場構成が整えられている。店長が地域のニーズを把握し、現場の判断で売り場の改良を進めることが可能なのだ。
他方、駅前にある錦糸町店や京急蒲田店では、駅を利用する学生や会社員をターゲットに、弁当やおにぎりといった商品がコンビニ感覚で購入できるよう工夫されている。
これらの柔軟な売り場構築は、店舗ごとに「一人の商売人」としての意識を持たせ、店長や担当者の独自性を尊重する権限委譲の制度が支えている。
しかし、日本企業全体を見渡してみても、「権限委譲」ほど難しいものはない。真面目な上司、真面目な経営者になればなるほど、自分の裁量を拡大解釈して、現場に口を出していくものだ。
優秀な人間であれば、それでもある程度は成長できるのであろうが、どこかで限界がきてしまうもの。限界がきて気づくのが、自分ばかりが試行錯誤を繰り返していたがために、会社を成長させようとする人材が育っておらず、「ウチには人材がいない」などと絶望するものだ。