米金融大手シティグループの投資銀行としての名声を復活させる任務を託されたビス・ラガバン氏は、プライベートエクイティ(PE)投資業界の主要プレーヤーたちに照準を合わせている。
ラガバン氏はシティのバンキング部門の新たな責任者に就任した。M&A(買収・合併)などのディールメーキングを担当する部下のバンカーらに期待するのは、PE案件に絡む助言業務や融資を強化し、手数料拡大につなげることだ。
これが成功すれば、M&Aなどを巡り企業や投資家がウォール街に支払う手数料からより大きな分け前を得ることができるはずだ。ラガバン氏が示す控えめな目標に達するだけでも、年間で約4億ドル(約600億円)の手数料を追加で獲得できることになる。シティの昨年の投資銀行手数料収入は27億ドルだった。
シティのジェーン・フレーザー最高経営責任者(CEO)は今年に入り、JPモルガン・チェースのディールメーキングチームを率いていたラガバン氏を採用した。シティがライバル行から人材を迎え入れるという決断に込めた狙いは、顧客だけではなく、社内のバンカーにもシティが競争の舞台に戻ってきたということを明確に示すことだった。
シティのバンカーはある企業との最近の会合で、「長い間、自分たちがいかに何もしてこなかったかを恥ずかしく思っている」と話した。
だが道のりは険しい。シティはかつてPE業界で大きな存在だったものの、規制やシティ自体が抱える根深い問題により、顧客が期待するような融資には消極的になった。PE投資会社からの信頼を失い、激しい競争が続く業界のランキングで順位は低下した。