コンプラ的にグレーな
昇進の祝い金や金券の贈答も
驚くべきことに、取引先からおカネを受け取る自動車メーカー幹部もいるようだ。
昇進や異動の祝い金やビール券といった金券の贈り物は、会食やゴルフよりも贈収賄的な意味合いが強く、コンプライアンス的にもグレーだ。
上表のB社は、昇進祝いの商品券として、トヨタと日産の役員に1人10万円分、両社の部長ら幹部に同5万円分、両社の社員に同3万円分の商品券を贈呈したという。
また、上表のD社はビール券を、トヨタに同1万~3万円分、ホンダに同4万~6万円分、日産に7万~9万円分贈ったという。
ビール券の受取額が多かった日産は、ダイヤモンド編集部の自動車メーカー取引先アンケートにおいて、サプライヤーからの評価による「交渉の態度、コンプラ意識」の得点が5点満点中2.5点と、トヨタの3.3点、ホンダの3.0点を大きく下回った(詳細は同特集の#1『【自動車サプライヤー幹部250人調査】トヨタ・ホンダ・日産の「通信簿」、役員のビジョン・値下げ圧力などを辛口評価』参照)。
こうした現金や金券の提供が常態化しているとすれば、自動車業界のなれ合い体質、排他性を象徴するものであり、大問題だ。EV(電気自動車)化や自動運転の普及に置いていかれつつある日本の自動車業界のスピード感のなさの要因の一つとすらいえるかもしれない。
男性中心の「昭和」な組織文化で
多様なニーズに応えるクルマを造れるのか?
かねて自動車業界は、新車の開発責任者がほとんど男性であるなど、男性中心の体質の弊害が指摘されてきた。
アンケートの結果で分かった接待などの実態からすると、開発のみならず、調達部門も男性中心で、多様性に欠ける昭和的な価値観が残っているのではないかと考えざるを得ない(自動車業界の男女格差についての詳細は、同特集の#16『自動車業界「賃上げ・人材採用力」ランキング【全216社】4位ルネサス、6位横河電機、8位日産、トヨタは何位?』参照)。
自動車業界は、多様な人材に活躍してもらうためにも、接待や昇進の祝い金などのような悪弊を改めるべきだろう。