『週刊ダイヤモンド』11月23日号の第1特集は「自動車・サプライヤー『緊急事態』」です。完成車メーカーが空前の利益を上げる一方、生産コストを製品価格に転嫁できず経営難に陥っている部品メーカーが少なくありません。ダイヤモンド編集部は、自動車メーカー取引先アンケートの251人の回答を基に、「下請けいじめ」といった自動車業界の闇に切り込みました。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)
ビール券は9万円分、ゴルフ接待も…
昭和的な企業間の「上下関係」が残る
自動車部品メーカーにとって、完成車メーカーからの仕事を失うことは「死」を意味することさえある。ダイヤモンド編集部は自動車メーカー取引先アンケートで、サプライヤーが自動車メーカー幹部らに、どんな接待や贈り物をしているかを徹底調査した(アンケートの詳細は特集『自動車・サプライヤー SOS』の#1『【自動車サプライヤー幹部250人調査】トヨタ・ホンダ・日産の「通信簿」、役員のビジョン・値下げ圧力などを辛口評価』参照)。
平日は食事の接待で2次会までお付き合いし、週末はゴルフコンペでまたご機嫌取り――。お中元・お歳暮の贈答品はアサヒビールの「アサヒスーパードライ」を選ぶ。なぜなら「男性が好みそうだから」。
自動車業界の接待文化は、まさに昭和の男性中心文化の象徴のようだ。
下表は、自動車部品メーカーなどが仕事を受注するためにトヨタ自動車やホンダ、日産自動車の幹部らに提供している接待や贈答品の一例だ。
食事の接待は、夕食であれば1人1万円からが相場のようだが、役員クラスの接待では、「2次会も含めると同5万円ぐらい」だという。
ゴルフ接待も必須のようで、トヨタについては「同社社員とのゴルフコンペは事実上、強制参加である」との回答もあった。