「トランプノミクス2.0」はもろ刃の剣、“最悪シナリオ”は関税引き上げ機にスタグフレーション入りPhoto:Pool/gettyimages

トランプ氏勝利、市場は期待と不安が交錯
米景気軟着陸目前に不確実性高まる

 2024年の米大統領選は予想外に大差がつく結果となった。共和党のトランプ前大統領が激戦7州全てを制して再選を果たし、上院も共和党が奪還した。下院も共和党が多数派を維持し、大統領と上下院を共和党が独占する「トリプルレッド」が実現した。

 選挙結果を受け、投票日翌日の11月6日の金融市場ではいわゆるトランプ・トレードが拡大した。とりわけ株式市場は、減税や規制緩和への期待感から製造業や金融などの銘柄を中心に買いが入り、ダウ平均は1日で1508ドル上昇して最高値を更新した。一方、米国債10年物利回りは4.43%と約4カ月ぶりの高水準まで上昇した。インフレ再燃の可能性に加え、財政赤字拡大も意識されているとみられる。

 米経済は、FRB(連邦準備制度理事会)が利下げに転じて以降、「景気軟着陸」の可能性が高まっていたが、第2次政権の経済政策の「トランプノミクス2.0」次第で大きく様相が変わる可能性がある。

 トランプ減税継続などの財政拡張策による景気押し上げが期待される一方で、新たな普遍関税導入などの関税引き上げで物価が上昇、景気が下押しされる懸念もあり、景気軟着陸を目前に一気に「不確実性」が高まる。