トランプ相場でドル高円安が進行している。しかし、長期的にみた円高トレンドへの転換の萌芽(ほうが)が見え始めている。2026年にはドル円は130円を割り込むだろう。その理由をひもといていく。(シティグループ証券通貨ストラテジスト 髙島 修)
2025年前半に140円台
26年には130円割れも
米国大統領選挙は共和党のトランプ前大統領が勝利し、この選挙結果は当面、ドル円を含めて為替市場でほぼ全面的な米ドル高を招くことになろう。向こう数カ月で155円を超えるドル高円安が継続してもおかしくない。
ただ、そうした一時的なドル円反発は、過去10年余り続いた長期円安トレンドが円高トレンドへ転換しようとしているとの当社の大局的な見方にあっても特段、違和感のないものだ。
当社は長期的にドル円に弱気で、来年前半には140円台を、2026年には130円台も割り込むとみている。
この見方は今回の米選挙におけるレッドウェーブを受けても変わらない。
先週火曜日の米選挙結果は、大統領選をトランプ前大統領が制したほか、米議会は上下院とも共和党が過半数を獲得し、「レッドウェーブ」となった。
当社はこのような場合には、米ドル指数で5%程度の上昇を見込んできた。10月の米ドル高の後もさらに3%ほどの米ドル高の余地があるとみている。
トランプ政権下で期待される財政刺激策が長期ゾーン中心に米金利を押し上げるとみられており、ドル円もその金利差感応度の高さを考慮すると、一時的には155円を超える上昇となる可能性も否定できなくなってきた。
とはいえ、過去10年の円安トレンドが長期的な円高トレンドへ転換しようとしているとの当社の大局的な見方は変わらない。
その転換点でトライアングルトップ型のフォーメーションが形成されるとの見方を持っており、ここでドル円が一時的に155円から160円程度まで上振れることになっても、そのような大きな流れの中ではまだ想定範囲内の動きといえる。
次ページでは、過去のドル円の動きを振り返りつつ、トランプ次期米国大統領の施策のドル円への影響を踏まえて、円高トレンドへの転換を検証していく。