米大統領選挙でドナルド・トランプ氏の復権が決まった。トランプ2期政権で、米国や日本の経済、株・為替市場はどう動くのか。BNPパリバ証券チーフエコノミストの河野龍太郎氏とみずほ証券チーフエコノミストの小林俊介氏に緊急対談で予測してもらった。対談の後編では、トランプ氏の政策が日本経済や日銀の金融政策に与える影響を検証する。(構成/ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
>>前編『トランプ政策は「世界から税を徴収し米国内で減税」、インフレ再燃で米再利上げの可能性も』を読む
米金利高止まりで
金融緩和難しくなる新興国
──米国以外の国の経済への影響は。
小林俊介 与党が敗北することの多い中間選挙の前までに急いで減税法案を通して実施するでしょう。その後は、関税引き上げを含めて淡々と進めていくと思います。
法人税減税で税引き後利益が増えますから当初は株価が上がります。それに連動して日本も含めて多くの国の株価が上がります。
その後はマイナスの影響を受ける国が出てきます。マイナスの影響を受ける国の筆頭は中国でしょう。高率の関税、半導体の輸出規制などによって打撃を受けるだけではありません。
人民元はペッグ制ではありませんが、対ドルレートを中央銀行の管理下に置いて変動を抑制しています。それ故、不動産不況下で大きく金利を下げたいと考えても、米国経済が強く、金利が高止まりしている状況では資本逃避を恐れて金融緩和が難しくなります。ドルペッグ制を採用している新興国も同じような状況に置かれます。
欧州は、ロシアの脅威という安全保障面だけでなく、ルール作りを主導してきた環境面でも打撃を受けるでしょう。原油価格が下落するとなると中東の産油国も厳しくなってきます。
こうして、米国の株価上昇に付いていけない国が増えてくることになると思います。