再び日本に迫る欧米列強

本の虫課長 武断政治から文治政治へと転換した江戸幕府は、長らく太平の世を謳歌しますが、1842年、幕府に大ニュースが飛び込みます。

泉岡マリ 清(中国)がイギリスに負けた「アヘン戦争」でしょうか。

本の虫課長 その通りです。長い歴史であれだけ日本を悩ませた中国が、あっさり負けてしまったのです。さらにアメリカはメキシコとの戦争に勝ち、アメリカ大陸西部を獲得。西に迫ってきます。太平洋の航路を開拓するため、その補給地として日本を活用しようと考えました。1853年、アメリカ東インド艦隊司令長官のペリーが軍艦4隻で浦賀に来航。「開国」を求めてきます。江戸幕府は威力に屈し、開港に関する条約を結びます。

 続いてイギリス、ロシア、オランダとも条約を結びます。突如現れた欧米列強に日本国内は混乱し、近代化に向けた明治維新が始まるのです。さあ、「近世までの流れ」を駆け足で見てきました。

渡辺フミオ 泉岡マリ え~!? もっと聞きたい!

本の虫課長 最後に……、今あなたたちがいるこの世界でも日々歴史が紡がれていて、それが世界史になっているのです。ありがとうございました。

武士の世の終焉「大政奉還」

上の書状は、1867年10月13日に15代将軍徳川慶喜が、10万石以上の大名の重臣を集めて大政奉還について意見を求めたもの。「朝廷に政権を返し、天下が公儀を尽くし、同心協力して皇国を保護すれば、必ず海外万国と並び立つことができる」と記されている。図の方は、慶喜が諸侯の前で大政奉還を告げたシーンとして紹介されることが多かったが、実際はこの諮問のシーンであり、諸侯に告げたのは老中の板倉勝静とされる。