編集者は著者の味方でいないといけないんです。編集者が著者の敵になると、関係が壊れてしまう。だから最大限に著者の意向を汲むけれども、たくさんの人に読んでもらって、結果的にたくさんの利益が出るという、同じプロジェクトに向かってるんだっていう大前提を忘れずに、粘り強く話をすることも大切だと思います。よくないのは相手が納得していないのに、言いくるめること。後々、揉めることになる。

 だから人によっては、対面や電話じゃなくて、メールやLINEなどの文面でゆっくりやり取りすることもあります。

 返事を急かすことなく、「いまの僕の気持ちはこうだけど、ゆっくり考えてから連絡ください」と投げかける場合もあります。どっちにしても、こちらの思い通りにしようっていうのは、ダメだと思います。

原稿がダメすぎる場合は
誰が書き直せばいい?

 著者は必ずしも文章のプロというわけではない。それでも著者本人の書きたいという意向を汲んで執筆してもらったところ、あがってきた原稿が「書き直すしかない」というクオリティの場合もある。著者として起用したのは自分なのだから、責任を持って編集者自身が書き直すという手もあるが、時間も手間も余計に取られることになってしまう。かといって、一定水準以上のクオリティに達していない本が売れるわけはない。