油の酸化抑制剤を開発
コスト削減に貢献
加えて商談を重ねる中、コスト削減という工場での優先課題に応えるため、開発に乗り出したのが食用および工業用の油の酸化抑制剤だ。
油の酸化抑制に関する研究を進め、それに関する特許を取得していた東北大学と連携し、酸化抑制剤を使った独自のシートを開発した。油の酸化を抑え、寿命が長期化すれば、仕入れコスト削減の他、結果として油の廃棄量が減り、CO2削減にも寄与する。
工業用だけでなく、飲食店においても、「昨今の原材料コスト高を踏まえ、料理の味を損なうことなく、油の消費量を抑えたいというニーズは高まりを見せています」と板橋氏。11月末の工業用を皮切りに、今後も製品をリリースしていく。
潤滑油の酸化抑制剤は、業界でも注目を集め、大手企業が新たに手がける潤滑油の劣化診断ソフトのオプションサービスへの採用も検討されている。工業用潤滑油には、明確な交換時期のルールや基準がなく、採用となれば、交換時期の見える化に加え、同社製品によるコスト削減、引いてはCO2削減という“一石三鳥”が実現しそうだ。
中小中堅企業にとって、環境対応はとかく後回しになりやすい。「まずは法規制対応やコスト削減といった身近な課題を解決する製品導入を基点に、結果、環境への配慮の輪を広げていければ」と板橋氏。柔軟に現場のニーズに対応する同社の新たな挑戦にも期待したい。
(「しんきん経営情報」2024年12月号掲載)