PHOTO: GABBY JONES FOR WSJ
今年9月、米顧客情報管理(CRM)ソフトウエア大手セールスフォースが年に一度開催する巨大カンファレンスに参加するため、数万人のソフトウエアエンジニアやテクノロジー愛好家、営業担当者がサンフランシスコに押しかけた。その時、スタートアップ創業者のヤリ・サロマ氏(46)はひらめいた。「サウナのレンタルはどうだろうか?」
サロマ氏は、セールスフォースのプラットフォーム上で利用できる人工知能(AI)ツールを開発した自身の会社、バロを売り込もうとしていた。しかし反アルコールの動きがテクノロジー業界に広がり、飲食中心の仕事の会合は開かれなくなっている。そこでサロマ氏などが挑戦しているのが、蒸気が充満する約100度の空間で人々が水着姿で交流する「ソーシャルサウナ」だ。
ソーシャルサウナは多少の慣れが必要かもしれない。バスローブやビキニで気が散る人もいるだろうし、汗びっしょりになる。
しかし投資家やベンチャーキャピタリストはバー以外に集まれる場所があるのは新鮮だと話す。彼らによれば、カリフォルニア州ナパのブドウ畑に設置された移動式サウナや、80人入れるニューヨークのサウナなど、さまざまなサウナでビジネスが行われている。
サロマ氏が育ったフィンランドではサウナは日常生活の一部だ。最初に働いた首都ヘルシンキの通信機器大手ノキアはオフィスにサウナを設置していた。
「フィンランドは自動車よりサウナの数のほうが多い」とサロマ氏。「トイレと同じ数だけサウナがある」