通知による仕事の中断は
深刻な生産性低下をもたらす

　通知が仕事の生産性に与える影響は、私たちが思っている以上に深刻です。ある研究では、仕事中に割り込みが発生すると、元のタスクに再集中するまでに平均で23分かかるとされています。その通知や割り込みの積み重ねの結果、1日のうちに失われる時間は約3時間にも上り、年間に換算すると720時間、つまり1カ月分の生産性が無駄になるというのです。これは非常に大きな損失です。

　また、割り込みによる中断で、エラーの発生率が2倍に増加するというデータもあります。一度集中力を失うと、その後の作業でミスが発生しやすくなり、その修正でさらに時間がかかるという悪循環に陥る可能性があります。働く人の50％は職場でスマホに気を取られているとのことですが、連続的な割り込みの蓄積は仕事の質や効率に大きな影響を及ぼします。さらに、こうした気を散らす要因はストレスと不安を増加させ、働く人のメンタル面にも負担を与えることが指摘されています。

　こうしたデータを踏まえると、通知を適切に管理し、割り込みを最小限に抑えることは、仕事の効率を保つために重要だと分かります。完全に通知をオフにする必要はないにせよ、大事な用件だけを選別して受け取る方法を知り、一定の時間、集中できる環境を整える工夫は大切です。

　通知を無駄なく管理し、集中力を維持しながら、必要な情報には確実にアクセスできるようにするには、どのようなアプローチがあるのでしょうか。

通知管理の3つの基本と
実践的なアプローチ

　通知を効果的に管理するための基本は、大きく3つに分けられます。「受け取るべき通知、受け取らない通知を明確にする」「通知を受け取る時間を制御する」「通知に振り回されないマインドセットを持つ」の3点です。

1. 受け取るべき通知、受け取らない通知を明確にする

　全ての通知が重要というわけではありません。本当に必要な通知とそうでない通知を区別し、不要な通知はオフにしましょう。