日本の今年最後の大型IPO(新規株式公開)は年末割引付きだ。しかし、安いからといって必ずしも掘り出し物とは限らない。
半導体メモリーメーカーのキオクシアホールディングス(旧東芝メモリ)が今週上場する。IPOの規模は約8億ドル(約1200億円)で、想定時価総額はわずか約51億ドルだ。この時価総額は、2018年に米投資会社ベインキャピタル主導の企業連合が180億ドルで事業を買収した時の評価額からはほど遠い。当時、東芝は原子力部門の巨額損失で空いた財務上の穴を必死に埋めようとしていた。
2020年に中止されたIPOで目指していた時価総額160億ドルからも大幅な割引となる。上場中止の理由は、顧客の1社だった中国の華為技術(ファーウェイ)に対する米国の制裁だった。それ以降の他の半導体メモリー銘柄のパフォーマンスと比較すると、さらに際立った対比が浮かび上がる。韓国の SKハイニックス は2倍以上に上昇し、キオクシアの合弁相手である米国のウエスタンデジタルは約80%上昇している。