才能なんて初めは誰もない
頑張ればキャリアは開ける

―― 終身雇用の時代が終わりつつあり、キャリアアップや転職が当たり前の時代になっています。

つんく♂氏が説く「無駄の積み重ね」の大切さ。自分が新人だったら…アイデアを凝らす“業務外”の仕事とは?PROFILE
つんく♂

総合エンターテインメントプロデューサー、TNX代表取締役社長。1968年生まれ。大阪府出身。92年「シャ乱Q」としてデビュー。「モーニング娘。」をはじめ多数のアーティストのプロデュースを手がける。ジャスラック登録楽曲数は2000曲以上。教育分野では任天堂のゲームソフト『リズム天国』シリーズが全世界累計販売本数500万本以上を記録。2014年に喉頭がんで声帯を摘出。近著に『凡人が天才に勝つ方法』(東洋経済新報社)

 人を雇う立場だと、絶対に80点以上の仕事をしてくれる人を求めてしまう。だから、まずは一つの職場で80点以上の域に到達することを目指すべきです。

 最初の職場に5年いようと10年いようと、80点以上の仕事ができない人間が転職しても、それはキャリアアップでなく、単なる転職。今の職場が理想と違っても、今の場所で信用を得られなければ、どんな職業に就いても、何も身に付けないまま「なんか違う」「こんなんじゃない」「俺の才能が見抜けない会社」などとずっと誰かのせいにすることになる。

 まずは、今の仕事で80点以上を取って、「あいつに頼めば間違いない」と誰もが認める人間になれたら、次の就職先へのキャリアアップになる。そうなれば、自分のテリトリー、「看板」を確保できます。

――就活がうまくいかないときに、現状を打破するには。

 バイトでも非正規でも職があれば、海外も視野に入れ、とにかく働くこと。興味のある業界がいいですが、音楽、エンタメ、レストラン、広告など、できれば人間模様のあるところがいいでしょう。

 そして、単体で完結するのではなく、前述したようなプロデュース力を使って、数人のチームワークが必要な現場で、リーダーのような経験を数回重ねること。そうすれば信用を得る快感がわかる。そして、「え? あそこを辞めるならうちに来てよ」と仕事は他からどんどん舞い込むようになる。

 人生100年時代、30歳くらいから真剣に未来を考えても遅くない。一回きりの人生を楽しむことを忘れず、就職に挑んでください。

つんく♂氏が説く「無駄の積み重ね」の大切さ。自分が新人だったら…アイデアを凝らす“業務外”の仕事とは?2013年から母校近畿大学の入学式を総合プロデュース。在学生の男女混合ユニット「KINDAI WELCOMES」がつんく♂氏の提供曲と演出で新入生を迎える (写真提供:近畿大学)