「好きなことを仕事にしたところで
長続きするとも限りません」
長らく終身雇用を当たり前に捉えてきた日本人。大学を出て新卒として入社した時点で、生涯勤め上げれば安泰だと思いがちだ。「でも、最初の就職が必ずしも最適とは限らない。好きなことを仕事にしたところで長続きするとも限りません」
休職したっていい。間違ったらまたやり直せばいい。
「何歳で何をしようとその人の自由。真剣に打ち込める仕事かどうかが大事です。社会的体裁や、はたからの意見に流されてしまうと、本当に自分にとってやりがいのある仕事を逃してしまうことにもなりかねません」
親に対するアドバイスは「人生の先輩として、大きく構えてほしい」とのこと。
寛大で堂々としているヤマザキさん。親子といえどもそれぞれの独立性を重視している。親が立場を切り分けて接することで、子どもも親と自分を切り分けて考えられるようになる。
「任天堂のポータブルゲームがはやり出したとき、クラスで持っていないのは自分だけだと言うので、買ってあげました。あくまで社会生活を円滑にするための手段なので、ゲーム嫌いの私にゲームの話はしない、というのが条件(笑)」
ヤマザキさんがこんなふうに子どもの意思を尊重できるのは「昭和ひと桁生まれで戦争を体験した母」の影響が大きかった。
「母は、生き方や人生に予定調和など期待しない人でした。理想とする子ども像を私に押し付けることもなく、『自由という選択は苦労するけど、あなたのやりたいことをしなさい』と言ってました」
〈後編は明日公開予定です〉