指示を出すときに
注意すべきこと
任せたことが、こちらの意図通りに実行されない場合があります。原因は、任せる内容が部下に正確に伝わっていないことです。
伝えるときに、曖昧な言葉を使って指示を出してはいけません。たとえば商品の発注について、「ちょっと多めに発注しておいてください」と伝えても、部下によって捉え方はさまざまです。
指示を出した側が「10個ほど多く発注してほしい」と思っていたとしても、部下は“ちょっと”と言われたので、3個しか余分に発注しないかもしれません。
その結果、納品されてきた数量を見た上司は、「なんで多めに発注していないんだ!」と雷を落とすことになります。部下としては、指示された通りに発注したのになんで怒られるのかよく分からず、理不尽な思いをします。
この場合、上司の頭の中にある“ちょっと多め”を、具体的な数字で伝えることで、両者に誤差が生じることを避けられます。数字の「10」は誰が見ても「10」です。仕事を任せる内容を伝えるときに曖昧な言葉は使わないようにしましょう。
また、写真、図を使って完成形を見せて「この通りにしてほしい」と伝えれば、写真、図の通りに仕上げてくれます。
私がかつて経営していたセブン‐イレブンのフランチャイズ店では、新規商品が入荷する際、売り場のどこに陳列するのかを売り場担当者が決めていました。ただ、発注した商品は、担当者がシフト入りしているときに入荷するとは限りませんので、陳列場所を図に描いた陳列指示書を活用していました。指示書を見れば、誰でも確実に、任せる側の意図した通りに陳列ができるからです。
また、任せることを伝える際、“ここは正しく理解してもらわないといけない”という重点事項については、伝える前に、「今から大事なことを三つ伝えますね」と“前置きフレーズ”を言ってから伝えます。たった一言付け足すだけで、部下は「漏れのないようにしっかり聞かなければならない」と意識しますので、このフレーズの後で言ったことは正しく伝わります。