小さなステップを踏むことで
失敗を次に生かすことができる

 個性を手に入れたデクは、なんとか入学試験に合格し、雄英高校ヒーロー科の1年A組に入りました。爆豪も一緒です。そこで仲間たちと切磋琢磨することで、何倍もの成果を出すための成長スピードを加速させます。

 ヒーロー科では座学だけでなく、実践方式の授業を多く取り入れています。2~4人のチームを組み、ヴィランとの戦闘を想定した演習を行うことで、チームでの戦いを学ぶのです。

 入学直後、A組では、2人組でヒーロー役とヴィラン役に分かれて建物内で演習を行います。そこでデクは爆豪の組と対戦。デクがヒーロー役で爆豪がヴィラン役ですが、爆豪はデクに対して敵対心を持っていました。2人は幼馴染で、手のひらの汗腺からニトロのような汗を出して爆発を誘発する個性を持つ爆豪は、無個性のデクに対して常にマウントをとっていました。爆豪は、デクが突然個性を手に入れたことを面白く思っていなかったのです。

 演習中に爆豪は、チームの作戦そっちのけでデクに戦いを挑みます。デクもそれに応じ、OFAを使ってなんとか勝利したものの、2人とも勝手な独断で動いたうえに屋内で大規模な攻撃を行ったため、クラスメイトから厳しく非難されました。講師を務めたオールマイトはこう言います。

「勝ったにせよ負けたにせよ 振り返ってこそ経験ってのは生きるんだ」

 オールマイトは内省の重要性を説きますが、確実に成長していくためには、小さなステップから始めることが重要です。これはデクの個性にも言えることで、OFAはパワー増強型の個性であるため、身体に大きな負担がかかります。そのためデクは自らを律し、5%程度の力で利用を始めました。小さなステップを踏むことで、早い段階で起こる小さな失敗を次に生かすことができるのです。

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お金目的では成功しない
「余計なお世話」がヒーローの本質

 成長するためには、「人の役に立つ」という意識も大切です。1年A組の生徒がヒーローを志す理由は、憧れやお金などさまざまですが、それだけではヒーローは務まりません。

 A組で学級委員長を務める飯田天哉の兄は、ヒーローとして活躍していましたが、ある日、ヒーロー殺しのステインの襲撃を受け、再起不能になってしまいます。それを知った飯田は、先生や同級生に内緒で単独で敵討に向かうのです。ところが返り討ちにあい、ピンチに陥ります。その窮地を救ったのがデクであり、「逃げろ」と言う飯田に対し、こう言い返します。

「余計なお世話っていうのはヒーローの本質なんだって」

 その後、さらに仲間が駆けつけ、強敵のステインを3人でなんとか倒しました。この「余計なお世話」こそがデクの行動原理であり、それによって驚異的なスピードでの成長を実現します。これはビジネスにも言えることで、人の役に立つことでなければ、数字の成果にはつながらないのです。