軽い運動をしている人は
難聴になりにくい納得の理由
このように、ストレスは心身に大きな影響を与えます。
そこで自身のストレスに対して、対策を練る必要があります。前述したように「気付く」だけでもストレスマネジメントになりますが、もう一歩進んで日頃から自律神経のバランスを整えましょう。
最適なのは「運動」です。前回の記事で生活習慣病やメタボの予防に有酸素運動を勧めましたが、軽い運動をしている人は難聴や耳鳴りになりにくいのです。なぜならストレス過剰なときは、自律神経の交感神経が優位になり過ぎていて、リラックス時に働く副交感神経は弱い状態になっています。
心地良い汗をかく程度の運動をすると適度に筋肉が緊張し、心拍数が上がり、いったんは交感神経が優位になります。運動後にゆったりすると、今度は反動で一気に体が緩み、副交感神経が優位に。健康的なバランスを取り戻せて、眠りも深くなります。
私のお勧めは、ヨガや太極拳など東洋系の運動。呼吸に意識を向け、オン・オフの動作を繰り返すことで、自律神経を自由に操れるようになるのです。
耳を引っ張る、3秒・3秒・6秒の呼吸法……
薬要らずの簡単ケア方法
運動をする習慣が全くなく、気が重いという人は、耳の上部・真ん中・下部を順番に指でつまみ、外側や下に引っ張るだけでも自律神経のバランスを整える作用があります。耳には自律神経に関係するツボが集中していますからね。
もう一つ、呼吸法もお勧めです。3秒(鼻から)吸って、3秒止めて、6秒(鼻から)吐く。この呼吸法を日々時間があるときに繰り返すことで、緊張感が緩みやすくなり、耳にも良い効果があります。
以前、当院を受診した40代女性は、プレゼン前になると耳が詰まったような感じになり、自分の声も他人の声も響くと言いました。聴力検査では、わずかに左側が低下しています。このままでは難聴が進行してしまうので、彼女にも呼吸法を勧めました。以来、普段から呼吸法の訓練をし、プレゼン前にも行うことで、耳が詰まる症状が和らいだようです。
このように薬に頼らなくても、日常生活で少しケアするだけで耳の不調は改善されます。次回は、正しい耳のケア方法についてお話しします。