「数学」は男子が有利
というわけではない
次に、数学についてのメタ分析もいくつか報告されています。古いメタ分析では、300万人以上の人々を対象とした関連研究がレビューされ、全体としての性差はほとんどなかったのですが、高校レベルの複雑な問題の成績において性差が見られ、男子のほうが得意であることが示されています。
ただ、こちらも古いデータには国語と同じ問題があります。より新しいデータでは、女性は数学の成績において男性と同水準に達していることが示されています。2010年に報告されたアメリカの生徒120万人以上のデータでは、小学校2年から高校生までのどの学年でも、高校レベルの複雑な問題の成績においても性差はありませんでした(*6)。
同時期に行われたもう1つのメタ分析では、全体として性差はないものの、複雑な問題においてはわずかながら男子の成績が良いことが示されています。
これ以外にも、国際データを含んだメタ分析では、性差の大きさや方向性が国によって大きく異なることを示しており、数学の成績に単純に性差があるとは言いにくい結果になっています。
このように、国語においては性差があると言えそうですが、数学においては、わずかながら男子の成績が良いものの、私たちが考えているほどには男子が有利というわけではなさそうです。
*6 Lindberg, S. M., Hyde, J. S., Petersen, J. L., & Linn, M. C. (2010). New trends in gender and mathematics per-formance: A meta-analysis. Psychological Bulletin, 136 (6), 1123-1135.