好調な「慶應義塾普通部」と「早稲田実業」
2月1日午前の2024年の受験者数をランキングすると、共学校は、20位早稲田実業までは、同校の他に13位安田学園しかないことに気付く。つまり、1日午前の男子受験生はもっぱら男子校を受験しているわけだ。
まずはAランクの難関校から見ていこう。その多くは男子校であり、25年に受験生が増えそうな学校は早慶の系列校となっている。東京男子御三家は、前年並みの開成を除けば軒並み緩和しそうな情勢となっている。
2月1日最多の男子受験生が集まる開成(荒川区)は、募集人員300人に対して、24年入試では1190人が受験し、実倍率は2.81倍(23年2.85倍、22年2.52倍)となった。例年100人ほどの合格者が入学を辞退している。四模試の志望者数は前年並みである。同じく300人を募集する麻布(港区)は、24年に796人が受験し、2.26倍(23年2.41倍、22年2.4倍)と緩和している。12月の志望者数を見ると、それまでの1割半減から1割減まで戻してきたとはいうものの、25年はさらに緩和しそうである。
240人を募集する駒場東邦(世田谷区)は、24年に627人が受けて2.11倍(23年1.93倍、22年1.9倍)だった。志望者数はそれまでの1割弱減から12月は微減まで戻しており、25年は2倍を維持できるか、という状況になっている。例年トレードオフの関係にある麻布と駒場東邦が、共に受験生が減りそうな状況にあるのはなぜか。東大合格者数がその理由の一つとして考えられる。麻布は23年の79人から24年は55人に、駒場東邦は23年の72人から24年は44人と大きく減少、5人合格で話題となった理IIIも24年はゼロだった。東大合格者数を大きく増やして100人とした聖光学院に、特に神奈川方面の受験生が流れている様子がうかがえる。
東京男子御三家の武蔵(練馬区)は募集人員が160人で、24年は530人が受験、2.99倍(24年3.11倍、22年3.51倍)と年々緩和している。志望者数は1割弱減が続いており、25年も3倍に戻すことはなさそうだ。
その点、早慶の系列2校は比較的調子がいい。約180人を募集する男子付属校の慶應義塾普通部(横浜市港北区)は、24年に526人が受験して2.7倍(23年2.86倍、22年2.8倍)だったが、志望者数は1割強増から12月には2割弱まで続伸している。25年は23年実績並みの倍率となるかもしれない。
共学校である早稲田大学系属早稲田実業学校(国分寺市)の志望者数は、それまでの1割半増から12月は1割弱増となっている。24年に330人が受験して3.79倍(23年3.6倍、22年3.58倍)だったが、25年は4倍に届くか。募集人員は約70人の狭き門である。早稲田大学の男子付属校である早稲田大学高等学院(練馬区)は、24年に380人が受けて2.95倍(23年3.31倍、22年3.29倍)だったが、志望者数は微減傾向が続いており、25年も3倍に戻す勢いはない。