緩和傾向の「渋渋」「早稲田」、ランクアップの「本郷」

 ここまで見てきた難関校は、いずれも2月1日に一回だけ入試を行う。ここから複数の入試回があるAランクの学校を見ていこう。早稲田大学の系属男子校である早稲田[1回]([ ]内は入試名。以下同)は24年に740人が受けて2.92倍(23年2.81倍、22年2.78倍)だった。新校舎効果もあったのだが、志望者数は微減が継続、25年は23年実績に近づくかもしれない。

 渋谷教育学園渋谷[1回](渋谷区)は10月2割減、11月3割減、12月4割弱減と、月を追うごとに減少傾向を強めている。24年は181人が受験、3.23倍(23年2.63倍、22年2.52倍)と高くなり過ぎた倍率が敬遠されているのだろう。せっかく24年にほぼ同数となった男女の合格者数が、25年は共学志向を強める女子の勢いに押され気味で、男子は3倍を割り込む公算が大きい。

 ここからはBランクの三つの入試回を見ていこう。早稲田と同じ新宿区で競い合う海城[一般1]は、477人が受験して2.98倍(23年3.41倍、22年3倍)だった。志望者数は微増傾向を維持しており、25年は3倍に戻せそうだ。やはり男子校のサレジオ学院[A]は、24年に369人が受験、2.12倍(23年2.1倍、22年2.18倍)と上位校にしては穏やかな競争水準なのだが、前年並みが続いた志望者数が微減に転じており、25年は2倍を何とか維持できるか。

 共学校で唯一、Bランクとなった広尾学園[1回本科]は、募集人員50人に対して90人が受験、3.33倍(23年3.9倍、22年2.39倍)と初回入試にしては高倍率だが、志望者数は微増となっており、25年は3倍台半ばにより近づきそうである。25年入試は全般的に好調な男子校の本郷[1回]は12月にBランクとなった。微増傾向を維持しており、24年に461人が受験して2.81倍(23年3.46倍、22年2.89倍)だった倍率が、25年には3倍に迫ることになりそうだ。

 Cランクの上位中堅校になると共学校がぐっと増加する。25年に新設された東京農業大学第一[1回]もCランクとなった。緩和傾向の入試回が多い中、はっきりと増加傾向を示すのは共学校の開智日本橋学園[1回]で、志望者数は徐々に減少傾向とはいうものの、12月でも1割半増となっている。24年の受験者数は124人で、2.76倍(23年3.31倍、22年 3.55倍)にまで緩和した倍率が揺り戻して、25年は3倍に迫りそうだ。