タクシー運転手になるための試験が
乗客が求めるスキルと異なる

 さて、第二種免許の合格率は、50%前後と言われます。第一種免許(一般的な普通自動車免許)の合格率が75%程度なので、ある程度難しいと言えるでしょう。第二種免許の技能試験でチェックされる項目には、下記があります。

場内
・S字型の鋭角コースやV字コースの切り返し
・縦列駐車または方向転換
・障害物設置場所の通過
路上
・路端への停車および発進
・転回(Uターン)

 以上を踏まえて、あなたがタクシーに客として乗っている状況を想像してみてください。どんな時に、「この運転手は下手だなあ」と感じるでしょうか?

 筆者だったら、(1)加速が一定せずにギクシャクする、(2)カーブを曲がるときにハンドルの切り方が急でグラッとする(3)停車時にガクッとなる――。こういう運転手に当たるとイラっとします。

 一方で世の中には、ギクシャク、グラッ、ガクッといったことが全く起きない運転手さんもいます。こういうドライバーさんに当たると、快適で良いサービスを受けていると感じますよね。

 ここで、第二種免許の技能試験でチェックされる項目をもう一度、見てください。タクシードライバーが、縦列駐車やUターンがうまくても、乗客が上手だなあと感心することは少ないでしょう。

 要するに、タクシー運転手になるための試験が、リアルワールドで乗客が求めているスキルとは異なっているのです。そもそも技能試験でチェックされる項目は、カメラなどのモニターやソナー、レーダーなどの機械を取り付ければかなり解決できる問題です。

 第二種免許を取得するための試験で、タクシーというサービスで本当に求められるスキルがテストされないのですから、下手なドライバーが生まれてもある意味、仕方ないかもしれません。

 筆記試験では業務上、知っておかなくてはならない法規を厳しくチェックすべきです。技能試験では、縦列駐車やUターンよりも、カップホルダーに入れた水がこぼれ出ないように運転できるかをチェックするほうが、タクシーというサービスではよっぽど大切だと言えるでしょう。