24年11月18日時点(25年3月期第2四半期決算発表)では、フジ・メディア・HDの25年3月期通期業績は、売上高が5983億円(前年同期比5.6%増)、営業利益は353億円(同5.3%増)、経常利益は404億円(同3.1%増)、当期純利益は290億円(同21.8%減)と予想している。
このうち、フジテレビの広告収入は下記のとおり1485億円(同0.8%増)を見込んでいる。
24年3月期はこうした広告収入の他に、『東京リベンジャーズ2』や『ミステリと言う勿れ』『翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~』など映画作品の興行収入や二次利用が伸びたこと、はたまた「アレグリア」(サーカス)や「モネ展」といったイベントがヒットしたことが収益を伸ばした。
しかし今年度は、フジテレビの往年の名作『踊る大捜査線』シリーズの『室井慎次』2作品などの公開があったものの、前年度に比べるとラインナップは弱い。映画やイベントは当たり外れがあり、ヒットの有無で業績が大きく変動する。今年度はあまり収益に貢献できそうもない。
フジテレビの四半期ごとの売上高と営業利益の流れを見てみよう。営業利益は例年、上期が低調で、下期で挽回するパターンが多い。
この法則で行けば、今年度も下期で盛り返さなければ赤字は必至だ。しかし足元の異常事態を鑑みる限り、通期決算で赤字に転落する可能性も否めない。
フジ・メディア・HDの金光修社長は、「テレビ広告は規模が大きい市場であり、フジテレビは、まず放送収入のシェアアップを図るとともに、配信広告を加えた広告収入全体で底上げを目指す」と発言していた(11月決算時点)。しかし、フジテレビに対する信用そのものが危機的状況にある今、その言葉が虚しく響くばかりである。