「そりゃ資産価値が落ちるわ…」マンション管理で住民が絶対に注意すべき「5つのポイント」とは?【専門家が解説】なぜ管理組合の運営が困難に陥るのか。5つの要因を明らかにし、それぞれの要因に対する具体的な対策をご紹介していく(写真はイメージです) Photo:PIXTA

マンション管理の明暗
運営難に陥る分かれ道とは

 建物の維持管理や良好な居住環境の確保を目的とし、マンションの資産価値を保つ上で重要な役割を果たす管理組合。近年、その運営に難を抱えるマンションが目立ち始めている。一部のマンションでは、老朽化や空室の増加、治安の悪化…といった問題が深刻化しているとも言われる。一方で、住民同士の活発な議論のもと、円滑な運営を実現している管理組合も存在する。

 この違いはどこから生まれるのだろうか。なぜ管理組合の運営が困難に陥るのか。5つの要因を明らかにし、それぞれの要因に対する具体的な対策をご紹介していく。

<課題1>不足する修繕積立金、築30年超えマンションのリスク

 多くのマンションで最初に直面する大きな問題が、修繕積立金の不足である。一般的に、新築から最初の12年から15年程度で1回目の大規模修繕工事が行われ、その後は、おおよそ12~15年周期で実施されることがほとんどだ。しかし、築30年頃までは、この大規模修繕工事を除けば、多額の費用を要する修繕は少ない。問題は、築30年を超えた後だ。

 大規模修繕工事に加え、給排水管の更新、エレベーターのリニューアル、玄関扉や窓サッシの改修など、高額な修繕工事が次々と必要になる。さまざまな工事が積み重なり、修繕積立金の不足が一気に顕在化するのが「30年」の節目なのだ。

 多くの管理組合では、新築時に作成した「長期修繕計画」に基づいて修繕積立金を積み立てている。しかし、この計画はおおよそ築30年頃までをベースに作成されている。つまり、計画策定時には、築30年目以降の多額な修繕費用は見落とされる可能性が大きいと言える。