円安ドル高の動きは反転し1ドル「145円」方向へ、米市場に潜む“3つの過剰”約5カ月半ぶりの安値水準になった東京為替市場(2024年12月30日) Photo:JIJI

2024年10月から今に続くドル高
米国市場に存在する3つの過剰

 2024年10月から足元までの為替市場は、トランプ・トレードや日米の金融政策決定会合の結果をうけたドル高円安、年明け後の英トリプル安やユーロ安など複数のテーマが同時進行中とみられる。

 ただし、以下で示すように米国市場には3つの過剰が存在している。

 3つの過剰とは、ドルロング、米国株の割高、米国債の割安・ショートの積み上がりだ。筆者は足元のドル高には行き過ぎの感があり、トランプ次期米大統領の就任式(1月20日)以降は、市場で十分に織り込まれていないドル安要因となる政策に反応する形でドル高の流れが反転していく可能性が高いとみている。

 25年のドル円相場に関し、市場では年末にかけて150~160円と高水準が続き一部には170円に達するとの予想も散見されるが、筆者は年末にかけて145円方向へ下落するとの予想を維持している。

日米金利差に出遅れ感
ドル円の上値は重い

 ドル円は、昨年9月に日銀の利上げや米大幅利下げ期待などを背景に139円台半ばへ下落した。しかしその後のドル円は、米景気の堅調をうけた米追加利下げ期待の後退、日銀のタカ派姿勢の後退に加え、米大統領選でトランプ氏が勝利すれば米国で景気とインフレが加速するとの見方を背景とした米国債売り・ドル買いなどにより、今年1月10日には158円台後半へ大きく反発した。

 ただし、昨年12月下旬以降は、米金利上昇と日米金利差拡大の動きにドル円は出遅れており、概ね156-159円のレンジで推移している。この背景としてまず挙げられるのは、日本の当局による介入警戒感がある。

 昨年4-5月および7月に円買い介入が行われたが、足元のドル円は当時の介入水準(157~161円台)に達しており、加藤財務相や三村財務官からは口先介入が繰り返されている。ただし口先介入だけでコントロールできるほどドル円市場の規模は小さくない。