キャリアアップのために資格を取るのは有効な手段だが、実際にどのように選んだらいいのだろうか。自分に合った稼げる資格を選ぶためには、自己分析用の職務履歴書を書き、自分の強みや「軸」を探す作業が必要だ。キャリアアドバイザーが、その具体的な方法を指南する。※本稿は、高村祐規子『50代ひとりでも一生お金に困らない「手に職」選び』(WAVE出版)の一部を抜粋・編集したものです。
自分に合った資格を見つけるには
入念な事前準備が欠かせない
まず、自分の強みを見つけ、そこから自分に合った資格を見つけていきましょう。
具体的には、次のような手順で進めていきます。
(1)自分の仕事を振り返る(職務経歴書を書いてみる)
(2)軸となる経験を見つける
(3)自分がやりたいこと、できることを明確にする
(4)自分がやりたいことと経験はリンクしているか?を考えてみる
(5)それらを補完するための資格、稼げる資格は何だろう、と予測を立ててみる
(6)その資格を実際に活用し、稼いでいる人がいるかを調べてみる
ここでやってほしいのは、頭で考えるだけではなく、とにかく紙に書いていくこと。どんどん自分の頭の中を整理し、ブラッシュアップしていくのです。せっかく、労力とお金をかけるのですから、事前準備はしっかりと行いましょう。
次からは順番にやり方をご紹介していきます。
ステップ(1)自分の仕事を振り返る
職務経歴書を書くことからはじめよう
自分の強みを知るために、まずは自分の過去の仕事を振り返ることからはじめてみましょう。具体的には「職務経歴書」を書いてみるのです。ここで言う職務経歴書は、就職活動用の文書ではありません。自分の仕事を棚卸しするために使用するもの。文字化して客観視することが目的です。
まずは、あなたのこれまでの仕事経験を時系列で書き出してみましょう。ここで注意したいのは、ただ会社の名前や肩書、在籍期間を書き連ねるだけでは不十分ということ。転職経験のある方は1社目から順番に、そこで何をしたか、どんなことをやってきたかを書き出します。たとえば、同じ「経理を5年やりました」でも親会社で5年経理をやってきたのと、子会社で経理を5年やってきたのとでは少し違います。子会社の場合、連結決算は行わないからです。
以前、こんな方がいらっしゃいました。職務経歴書に「部長」とだけ書いているのです。同じ「部長」でも会社によって仕事内容は異なりますし、やれることも違いますよね。「部長って何ですか?部長として何をやってきたかを細かく書いてください」と言っても、「部長ならできるんですけど……」の一点張り。まるでコントのようですが、実際に社外の人たちとの交流が少ない人は、そのようなことにもなりがちです。肩書はアピールポイントにはなりません。大事なのは、それぞれの仕事で具体的に何をしたのか、どんな成果を上げたのか、どんなことをやってきて何ができるかを挙げることです。