物価高で押しつぶされる「無職世帯」、日銀金融緩和政策の“看過できないマイナス”高齢者などの無職世帯は、物価上昇の影響だけを受けて生活が困窮していると考えられる。このことは直近の家計調査でも確かめられる(写真はイメージです) Photo:PIXTA

11月家計調査、無職世帯は
実収入も支出も前年から減少

 ここ数年の物価上昇と賃上げは、国民生活にどのような影響を与えているだろうか?

 この影響は、世帯のタイプによって大きく違う。勤労者世帯は賃上げの影響を享受しているので生活が改善している面はあるだろう。

 だがそれに対して、高齢者などの無職世帯は、物価上昇の影響だけを受けて生活が困窮していると考えられる。このことは直近の家計調査でも確かめられる。

 1月10日に公表された11月分の家計調査報告(総務省)によると、11月の実収入は、勤労者世帯では対前年同月比が実質で0.7%の増になっているのに対して、無職世帯では5.5%の減少だ(注1、2)。

 消費支出も、勤労者世帯は同1.5%増に対して無職世帯は同2.4%減となっている。

 日本銀行は、将来、物価が上がるというインフレ期待(予想)が生まれれば、消費が増え経済も上向くということで、物価目標政策のもとに金融緩和策を続けてきた。そして高賃上げの波及を物価目標達成の重要なメルクマールとしてきた。

 今週23、24日に開かれる金融政策決定会合でも、今春闘でも高い賃上げが続くとの見通しから、利上げをすると市場ではいわれている。

 だが、家計調査が示しているのは日銀が想定しているのと全く逆の事実だ。