与野党「協力」で問われる各党の政策力
アベノミクスの発想から抜け出せず
石破政権で初の国政選挙となった衆議院選挙では、自民・公明両党は過半数割れに陥り、「政策協力」で合意した野党、国民民主党と自民・公明両党との政策協議が始まった。
石破首相が早期解散に踏み切ったことで、かえって裏金問題が最大の争点になり、自民党が自滅したといっていい。
石破首相が自民党総裁選中に言っていたように予算委員会で十分な審議をし、選択的夫婦別姓や保険証廃止延期などを約束、物価対策についても具体策をきちんと打ち出して総選挙に臨めば、これほどひどい結果にならなかったかもしれない。
同じことは、「政権交代」を目指した立憲民主党にも言える。政治とカネの問題に焦点をあてた戦略は一定程度、成功したが、物価高や賃金の低迷、社会保障や財政への不安といった国民の生活に深く関連する問題を解決する整合性のある政策を練っていないために、結局、政権交代も比較第1党も実現できなかった。
これから、自民・公明両党と国民民主党以外の他の野党や野党間も含めて政党間で話し合いながら政策を決める局面が増えてくれば、各党の政策能力が問われる。それを怠れば有権者からその力量を見限られるかもしれない。中でも、国民にとって切実な物価対策について整合性のある政策を出すことが求められていく。
だが各党が選挙公約で掲げた物価高対策を見る限り、財政の大盤振る舞いと超金融緩和で無理やり物価を上げようとしたアベノミクスの発想からいまだ抜け切れていない。
物価対策は「王道」に戻るべきなのだ。