参院本会議で代表質問に答弁する石破茂首相参院本会議で代表質問に答弁する石破茂首相 Photo:SANKEI

2025年は戦後80年目、経済衰退の原因は何か?
短期的問題にばかり関心が集まる

 2025年は、戦後80年目の年になる。この80年間の前半の40年間と後半の40年間で、日本経済は全く違う状況になってしまった。

 前半の40年間で、日本は焼け跡から復興し世界から「奇跡」と言われたほどの高度経済成長を実現した。そして日本は世界の先進国の仲間入りをした。

 ところが、後半では停滞してしまった。とりわけ1990年代後半からがそうだ。1人当たりGDPの水準は、その頃からほとんど変わらない。なぜ、このようになってしまったのだろうか?

 それは少子化などによる必然的な現象なのか? それとも政策の失敗によるものなのだろうか? 私は後者だと考えている。

 いま、人々の関心はあまりに短期的なことに偏っている。表面の出来事だけに踊らされている。近視眼的な見方しかできない。

 最近の政治状況や政策を見てもそうだ。基本的問題に取り組もうとせず、目先にある問題の処理だけに終始している。

 いま、物価高対策など経済対策での24年度補正予算で、与党と野党の国民民主党の政策協議が連日のように行われている。所得税の基礎控除引き上げの問題もその典型だ。

 日本経済の長期停滞脱却で本当に取り組むべき課題は脇に置かれている。

基礎控除引き上げや給付金で
物価問題は解決しない

 基礎控除引き上げは「103万円の壁」の問題として論議されている。

 103万円以上に所得が増えれば、課税されるので働き控えをする。だから手取りを増やすために見直しが必要だという。つまり、就業に対する悪影響が問題とされた。

 確かに、基礎控除が引き上げられれば、これまでより長く働く人々が増えるだろう。