二つ目が価格改定と顧客ターゲットの再考だ。原材料が高騰する中、以前の価格での提供は難しい。そこで、「古式かまぼこをどんなシーンで購入いただきたいかを考え抜き、贈答用にフォーカスすることにしました」と林田氏。
普段の食卓に並ぶ食品と贈答用では許容される価格帯が異なる。値上げの価値がある、価値に見合った価格にしてこそ製品の真価が伝わるという信念からの方針転換だった。
それに関連し、三つ目に会社のロゴマークやホームページ、商品パッケージなども高級路線に刷新していく。
四つ目がメディアへの積極的な露出だ。
社長就任後、林田氏にはテレビやWeb、さらに事業承継や起業に関する講演への出演依頼も多く舞い込む。「オリジナリティーのある製品だからこそ、背景にあるストーリーや思いを丁寧に伝えることに注力しています」と林田氏。トップ自ら広告塔として奔走する効果もあり、売り上げの7割は自社サイトからだという。
その他、イベントの記念品用などに、かまぼこ板に名前やロゴをレーザー加工する「名入れかまぼこ」など、斬新な戦略を次々と展開。「手軽にワンハンドで食べられるかまぼこなども手がけたいですね」(林田氏)と新たな展望も描く。
コアとなる理念は大事にし、時代に合わせて何をアップデートしていくか。事業承継の在り方だけでなく、新商品・事業を模索していく上でも参考にしたい。
(「しんきん経営情報」2025年2月号掲載)