「見られているかどうか」は関係ない
――お客様と関わる機会が少ない仕事の人はどうすればいいですか?
福島 究極的に言うと、お客様が見ていないところでのふるまいが一番大事だと思います。
たとえば、家の近所にコロナ禍でずっと閉まっていたお店がありました。でもそのお店の店主は、毎日お店の前を掃除していたんです。それも店の前だけでなく、通り全体を掃除していました。
ある日、気になって「なぜ掃除しているんですか?」と声をかけてみたんです。すると店主はこう言いました。
「僕はこの街でお世話になっているから、商売関係なく、この通りはきれいでいてほしいんです」
そのお店は、コロナが明けた瞬間に大盛況になっていました。みんな見ていたんでしょう。掃除する店主の姿を。何が言いたいかというと、自分では「誰も見ていない」と思っていても、きっと誰かが必ず見てくれているんです。
人の「本性」が見える瞬間
今井 営業の人も見習いたい姿勢ですよね。飛び込み営業したときに「あれ、君さっき、道でゴミを拾ってなかった?」とか言われたりするかも。「人に見られているから、やっている」と思われたら、そうはならないですよね。
福島 じつは、まさにそんな営業パーソンの話を聞いたことがあります。
僕の知り合いの、ある経営者の方が大型の保険に入ったんです。それが外資系とか大手の保険会社ではなかったので、「なぜそこを選んだんですか?」と、気になって聞いてみました。するとその経営者は、こう言いました。
「その保険会社の人、いつもうちに来たときに、ゴミがあったら拾って帰るんだよ」
くわえて、「誰も見ていなくても一礼をしてから帰っている」とも、社員から聞いたそうです。
その経営者は「だからその人の会社で、保険に入りたいと思った」と言っていました。
今井 口だけではなんとでも言えますが、誰も見ていないところでこそ、人の本性が出ますよね。
福島 はい。それがすべてなのだと思います。
まとめ:存在感を示すためにできること
今井 さりげなく「存在感を示す」ためのポイントをまとめると、どうなりますか?
福島 次の3つが大切です。
1:目立たないところこそ丁寧にやる
2:自分なりの「小さな工夫」をしてみる
3:誰も見ていないところでも他者を想う行動を心がける
今井 これらを意識すれば、自然に存在感を示せて、記憶に残る営業になれそうですね。
福島 そうですね。日々の工夫と気遣いを大切にし、さりげなく存在感を示していきましょう。
(本稿は、営業職の情報プラットフォーム “YEALE(エール)”企画によるトークセッション形式のイベント「セールスハッシュタグ」で行われた、『記憶に残る人になる』の著者・福島靖氏と『Sales is』の著者・今井晶也氏の対談をもとに構成したものです。YouTube(2B Sales チャンネル)から、対談の動画も視聴できます)