「どうすれば、お客様に覚えてもらえるのか…」
営業パーソンにとって、お客様に「覚えてもらう」ことは死活問題。「前に会いましたっけ?」「すみません、なんの話でしたっけ?」なんて言われてしまうような「その他大勢の営業」では、結果はおろか、信頼関係さえ構築できない。
「お客様の“記憶に残る”ために必要なことがあります」。そう語るのは、『Sales is』を執筆した今井晶也氏と、『記憶に残る人になる』を執筆した福島靖氏だ。お客様の「記憶に残る」ことを心がけたことで圧倒的な成果を出した営業のプロによる対談でわかった「お客様の記憶に残る営業」の真髄に迫る。
究極の第一印象を作る方法
――営業において「第一印象」は大切ですが、どのように考えていますか?
福島靖(以下、福島) 第一印象とは「相手の関心を引く最初のチャンス」だと思っています。
商品や商談内容に興味がなくても、「この人面白いな」「もっと話を聞いてみたい」と思ってもらえたら、その後の商談はうまくいきます。ですから第一印象では、いかに自分に興味を持ってもらうかが大事なんです。
今井晶也(以下、今井) そのためにはどうすればいいのでしょう?
福島 僕は、「自己紹介につながる」第一印象が、究極だと考えています。
僕はもともとリッツ・カールトンで働いてましたとか、ソムリエやパイロットだった時期もあってとか、言いたいことはいっぱいあるんです。でも自分から言い出したら、ただのイタいやつじゃないですか。
今井 たしかに、ちょっと鬱陶しいですね。「別に聞いてませんけど」、みたいな。
福島 そうですよね。ですから自分から話すのではなく、相手から聞きたくなるような第一印象を見せるんです。
コーヒーの香りのする名刺
福島 たとえば、僕の後輩に元バリスタがいるんですが、彼は名刺にコーヒーのアロマを吹きかけていました。すると名刺交換の際に、ふわっとコーヒーの香りがして、ついお客様が「これはなんの香りですか?」と聞いてくれるんです。
今井 それは面白い! 相手に自然と質問させる工夫ですね。
福島 そうなんです。そこで「コーヒーの香りです」と答えると、お客様は「なぜ?」と聞いてきます。そこから「じつは昔、バリスタをしていたんです」と、自己紹介につなげられます。
このように相手の関心を引き出し、自然な流れで自分の魅力を伝えることが重要です。
今井 自己紹介も含めて、最初にどれだけ相手に興味を持ってもらえるかが勝負なんですね。
福島 はい。自己紹介は相手から「Why?」を引き出すきっかけだと考えています。