「どうすれば、お客様に覚えてもらえるのか…」
営業パーソンにとって、お客様に「覚えてもらう」ことは死活問題。「前に会いましたっけ?」「すみません、なんの話でしたっけ?」なんて言われてしまうような「その他大勢の営業」では、結果はおろか、信頼関係さえ構築できない。
「お客様の“記憶に残る”ために必要なことがあります」。そう語るのは、『Sales is』を執筆した今井晶也氏と、記憶に残る人になるを執筆した福島靖氏だ。お客様の「記憶に残る」ことを心がけたことで圧倒的な成果を出した営業のプロによる対談でわかった「お客様の記憶に残る営業」の真髄に迫る。

目立つけど「信頼されない人」と、内向的なのに「なぜか信頼される人」。たった1つの違いとは?Photo: Adobe Stock

さりげなく「存在感」を示すには?

――大胆な行動が苦手な人でも、お客様の記憶に残ることはできますか?

今井晶也(以下、今井) 先ほど(前回の記事で)お伺いした方法は、たしかに目の前の相手の印象に残ることはできると思いますが、そこまで大胆に行動できない人もいると思います。そういった少し内向的な人はどうしたらいいでしょう?

福島靖(以下、福島) 信用や信頼を得るためには、必ずしも目立つ必要はないと思います。むしろ、目立たないような所でこそ差がつきます。

 たとえば手書きの郵便物やDMです。昔、DMを送った企業様に電話をかけたら、お客様に叱られたことがありました。1日に何通もDMを送るので、宛名を省略して「区」から書いたり、自分の部署を社内で使われている略称で書いたり、あとは急いで書いたので単純に字が汚かったりしたからです。開口一番に「あの資料を送ってきたやつか」「営業の電話をかける前に字を練習しろ」と言われました。

今井 それは、かなりショックですね……。

目立つけど「信頼されない人」と、内向的なのに「なぜか信頼される人」。たった1つの違いとは?『Sales is』今井晶也著(扶桑社刊)

福島 はい。でもその後、自分の家に送られてくるDMを見てみると、たしかに雑に書かれているものが多いと感じました。そこでペン字の通信講座に申し込みました。

今井 お客様に言われたとおりにしたんですね。

福島 言われたことは何でもやってみようと思ったんです。やってみると、ひらがなは小さく書くとバランスがいいんだなとか、学びがありました。半年間も練習したら字がきれいになって、お客様から「福島さん、字がきれいですね」と言われるようになったので、やってよかったです。

手紙を送るときの「小さなこだわり」

福島 あとは手紙で言うと、封をする部分にもこだわっていました。

 皆さんだいたい「封」とか「締め」とか書くと思いますが、僕はオリジナルの印鑑を作って押していました。それだけでお客様から「このスタンプ、かわいいですね」と言われたりします。こうした小さな工夫も存在感を示せるポイントになります。

今井 細かい部分に気を配るだけで、印象に残ることができるんですね。

福島 大げさに目立とうとしなくても、ちょっとした工夫で自然に存在感を示せます。お客様は、そういった細かい気遣いを意外と見てくださっているんです。