「無理をせず納得できる物件を買いたいから中古を選ぶ」という人は多いが、実際にどの程度の金額が自分にとっての「無理」なのかを明確につかめている人は少ない。今後の金利動向を踏まえ、長期的なライフプランをイメージしたうえで、最適な住宅ローン戦略を練る方法を、FPの山田和弘氏に聞いた。

金利の安い今のうちに固定金利でローンを組む

山田和弘氏ファイナンシャルプランナー
宅地建物取引主任者
「家計の見直し相談センター」
専務取締役
山田和弘氏
(やまだ・かずひろ)
横浜国立大学工学部卒。生命保険会社を経て、同窓の仲間とともに「家計の見直し相談センター」を設立。個人向けファイナンシャルプランニングサービスを行っている。ファイナンシャルプランナー CFP®認定者。宅地建物取引主任者。生活デザイン株式会社専務取締役。

 金利が1%上がれば住宅ローンの総支払額は数百万円単位で変わる。

 金利上昇の可能性が出てきた今、変動1本で住宅ローンを組むのはあまりにリスクが高い。

 家計の見直し相談センターの山田和弘氏は、「もっと金利が上がったら固定に乗り換えればいい、という考え方もあります。でも実際には金利は固定から先に上がっていくものなので、変動から乗り換えようとすると想像以上に金利が高く、借り換えをためらってしまいがち。その状況が進めば、変動の金利が固定を上回ることも。そうなれば乗り換えはしやすいでしょうが、金利はすでにかなり上がっているはずです」と語る。

 現状、ローンを変動1本で組んでいいのは、頭金以外にも貯蓄が十分にあり、本格的な金利の上昇局面に入ったら多額の繰り上げ返済ができる、資金面で余裕がある人に限られる。

「個人的には、無理のない金額を長期の固定金利で組むことをお勧めします。今は金利が低く、全期間固定でも1%台の商品があります。できれば全期間固定、最低でも10年以上の固定が望ましいですね。場合によっては二つのミックスにするという手もあります」

 例えば、子どもの教育費がかかる間は固定にしておくなど、お金のかかる時期に金利が上がることのないように組んでおけば、家計には安心。退職金を返済に充てようと思っているのであれば、退職までの年数を考慮して固定の期間を決めるなど、その家庭によってベストな組み方も変わってくるという。