16歳未満の子どもは扶養控除の対象外
次に、扶養控除に関する勘違いです。今でも「子どもが生まれると控除が増える」と思い込んでいる人がいますが、これは正しくありません。2011年以降、16歳未満の親族は扶養控除の対象外となっています。
私がよく見たのは、扶養控除の計算をする欄に16歳未満の子を含めて計算しているケースです。この場合、本来よりも少ない税額で確定申告をすることになるので、申告漏れの税額が発生します。
この間違いは、手書きで確定申告書を作る場合に起こるものです。国税庁ホームページで公開されている「確定申告書等作成コーナー」のようなシステムを使えば、親族の生年月日などの情報から控除額を自動判定してくれるので、ミスを防ぐことができます。
ちなみに、確定申告書の中には16歳未満の扶養親族を記載する欄があります。「扶養控除を使えないなら、16歳未満の親族の情報は申告しなくても良いのでは?」と思うかもしれませんが、これは障害者控除や住民税の計算などに影響するので、きちんと申告しておいたほうがいいでしょう。
保険金をもらったら要注意
国税庁ホームページで「誤りの多い事例」として挙げられていますが、保険金に関する申告誤りも非常に多いです。
保険金の申告が複雑なのは、保険の契約内容や、保険金を受け取ったシチュエーションなどによって取り扱いが変わってしまうからです。
保険金のなかには非課税になるケースもあれば、課税されるケースもあります。たとえば入院をして、自分が掛けていた医療保険などの保険金をもらったら、非課税です。確定申告を行う必要もありません。しかし、満期保険金や解約返戻金をもらった場合、確定申告が必要となる可能性があります。
さらに複雑なのは、保険金が課税される場合、条件によって所得税(住民税)、贈与税、相続税という3つのタイプの税金に分かれる点です。本記事ではこの点について詳しく解説はしませんが、「被保険者」「契約者」「保険金を受け取った人」の組み合わせにより、かかる税金が変わってしまうのです。そして、どのタイプの税金になるかによって、税金の額もまったく違ってきます。
保険金について、税務署は法定調書という形で保険会社から情報を収集しています。したがって、勘違いから保険金の申告漏れや誤りがあった場合、後から指摘を受ける可能性が高いです。場合によっては多額の税金が発生する可能性もあるので、注意してください。