F:えぇ?いったん曲げたのに?
鈴:そう。ちゃんと90度に曲げたのに、時間が経つと95度に戻ってしまったりする。そういったことが起きないように加工するのって、ものすごいノウハウの蓄積が必要なんですよ。
F:バネ鋼じゃなくても鉄って戻るんだ。驚きです。
鈴:戻りますね。特に硬いものは一度変形させても元に戻る力が強い。それが亀裂になってしまったりもする。応力がどこかに残っているんです。それをどのようにうまく分散させるか。その辺のノウハウは取引先さんの、実際に加工される方たちの努力とご協力がないと実現できないことなんですね。
F:Aピラーが象徴とも言えますね。他社のエンジニアがリバース(実車を購入してバラバラに解体して実証する)かけたら「ああ、スズキはやりおったな」と思うのでしょうか。
鈴:ええ。おそらくは(笑)。ここは絶対に見ていると思いますよ。各社さん、もう本当にみんなここをベンチマークしていますね。
ホンダさんにダイハツさんに三菱さん。(あ、日産さんも……)ご覧になっておられますか?じきに皆様の苦労話も伺いに行きたいと存じます。「ナメるな。ウチはもっと凄いぞ!」というお話なら大歓迎。
次号からガラッと流れが変わり、三菱の大きなクルマにまいります。それではみなさまごきげんよう。
(フェルディナント・ヤマグチ)
60kgの軽量化!先代アルトにはみんな腰を抜かした
こんにちは、AD高橋です。
スズキのクルマは軽い。これにはいつも本当に驚かされます。本編でも触れていますが、先代アルトが登場した時は、メディア関係者はほぼ全員腰を抜かしたはずです。先々代のアルトはさまざまな技術を盛り込んでJC08モードで35.5km/Lというガソリン車ナンバーワンの低燃費を実現したのに、先代アルトはそこからさらに燃費を伸ばし、JC08モード37.0km/Lという数値を叩き出しました。