
旧ビッグモーター問題など、損害保険業界で噴出した不適切な保険販売の現状を受けて、各社は代理店の業務品質向上に取り組むベースとなる、関係性の再構築に取り組んでいる。他の大手損保と比較して、中小規模の代理店を多く抱えるあいおいニッセイ同和損保は、どのように取り組んでいるのか。特集『保険大激変』の#23では、同社の新納啓介社長に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫、構成/ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)
独自コンセプトの浸透へ
代理店との対話を重視
──損害保険業界で噴出したコンプライアンス問題、それを受けたルール改正が進んでいます。どのように受け止めていますか。
正すべきところを正さないと、損害保険業界の未来はないと思っています。あいおいニッセイ同和損害保険として、覚悟を持ってこれまでの商慣習を変えていこうと、全社員に向けて話をしています。過度な便宜供与などがないフェアな競争環境を、代理店と保険会社が協力してつくり上げていく年にしていきたいと考えています。
保険会社としては、お客さまが欲しいと言ってもらえる商品をどれだけお届けできるかの勝負となります。当社にとっては「CSV×DX」(※)のコンセプトがあり、それに沿った商品をどれだけ出せるかを、今まで以上に意識して取り組んでいます。
保険会社から代理店への出向も順次引き揚げていきますので、代理店には業務のどこからが自社のやる業務かを意識してもらうように、対話を進めてきました。
──2024年度下期に、1400を超える代理店に「CSV×DX宣言」をしてもらったと聞きました。代理店の選別、見極めを進めているのでしょうか。
あいおいニッセイ同和損保は中小規模の代理店を多く抱えており、損保各社が進めている新たな体制整備や品質向上への取り組みは、他社よりもきめ細かな対応を必要だ。そんな中、代理店との対話の結果、同社と代理店双方の合意のもとで委託契約の解除を決めた代理店もあるという。次ページでは新納社長に、現在の代理店との対話の状況について、話を聞いた。