保険大激変#29Photo by Yoshihisa Wada

乗り合い代理店市場でのシェア獲得のために設立された日本生命保険の子会社であるはなさく生命保険。後発ながら、2025年1月には変額保険を発売するなど、乗り合い代理店市場で存在感が増している。特集『保険大激変』の#29では、陣頭指揮を執る柏原宏治社長に、変額保険投入の背景や社内の合言葉になりつつある「流通革命」について、話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫、構成/ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

創業6年目に突入したはなさく生命
変額保険市場に参入で高まる注目

――2023年3月の社長就任から2年がたちました。足元の業績や業界環境をどのように捉えていますか。

 日本生命保険には強固な営業職員チャネルがあり、市場で高いシェアを獲得できています。その一方で、乗り合い代理店市場やダイレクト販売の認知が徐々に広まってきて、販売チャネルとしてのシェアも上がり始めていました。日本生命グループでは、そのチャネルに投入する商品は既存のものでは難しく、そこで、乗り合い代理店市場向けに商品を供給する当社が誕生しました。

 今、大事だと考えているのは、商品を供給するチャネルでのシェアを獲得するという発想よりも、日本生命グループが応えられていないニーズに対応するという発想です。20~30代の若年層が保険に入る割合が低くなっています。これは当社では「プロテクションギャップ」と呼んでいるのですが、大きな社会課題だと認識しています。はなさく生命保険として、この層に合う保険を提供していきたいと思っています。

――25年1月に発売した変額保険は、保険のプロからの評判も上々です。

 20~30代の死亡保障や医療、がんに対する保障は、これまでは日本生命の営業職員が会社を訪問して営業することで提供できていました。結婚や子どもの誕生などのライフイベントも捉えやすかったわけです。ところが今は、訪問すること自体が難しくなり、日本生命グループとして、20~30代のお客さまをこれまでのように獲得できなくなりました。そこで改めて、若年層が何を求めているかを分析して、幾つか分かってきたことがありました。

はなさく生命は19年4月の営業開始以来、商品を取り扱う乗り合い代理店の開拓、通信販売やオンラインで完結できる手続きの仕組みの構築など、契約や保険金支払いについて段階的に手法を増やしてきた。今回、新たに始めた取り組みにより、契約獲得が大幅に効率化することに成功しているという。それは変額保険にも、その手法が生きてくることになりそうだ。次ページで詳しく話を聞いた。