保険大激変 損保の構造的課題が生保にも飛び火!#32Photo:mediaphotos/gettyimages

損害保険各社で発覚した情報漏えい事案では、損保から大手代理店への出向制度が問題の根底にあった。そんな中、損保各社の出向者たちはこの問題をどう捉えているのか。特集『保険大激変』の#32では、座談会の続編として、損保各社のシステムの使い勝手や業務効率化へ向けた姿勢、レバーレート(損保が整備業者に支払う事故車などの修理工賃)などについて話してもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫、構成/副編集長 片田江康男)

乗り合い代理店出向者が語る
損保の現場軽視の実態とは?

 損害保険大手4社で相次いで発覚した顧客の個人情報の漏えい問題。漏えいが起こった背景を探ると、損保各社から乗り合い代理店へ出向していた出向者の存在が浮かび上がってきた。

 そもそも出向は、代理店が適切に保険募集を行うために、損保会社からの出向者が代理店の体制整備・構築を手伝うというのが本来の目的だ。ところが、代理店が行うべき事務作業を損保社員が肩代わりしていたり(二重構造)、自社の商品を拡販することを目的に出向者を送り込んでいたりと、本来の趣旨とは大きく違う実態があった。

 代理店側にも問題はあった。出向者に保険実務を依存するあまり、いつまでたっても自立できない代理店が数多く存在することにもつながっていたのだ。

 損保各社はこうした悪弊を断ち切るべく、出向者を3月末で引き揚げることを決定した。当然ながら、現場は大混乱。すでに出向者の引き揚げが始まっている代理店の現場からは、事業パートナーであるにもかかわらず、現場を軽視した損保各社の性急な対応に、不満の声が噴出している。

 そこでダイヤモンド編集部では、主にモーター系の乗り合い代理店に出向している損保の現役社員5人に集まってもらい、率直な意見を聞いた(本特集#1『保険会社から代理店への現役出向者5人がぶちまける現場の実態「情報漏洩?やろうと思えばやれた」【覆面座談会】』参照)。

 本特集#1では、出向者引き揚げに関する現場の混乱を中心に話してもらったが、本稿では、自らの出向元である損保各社が代理店に提供するシステムの使い勝手や、レバーレート(損保が整備業者に支払う事故車などの修理工賃)などに話題が及んだ。