生保・損保・代理店の正念場#23Photo by Yoshihisa Wada

ビッグモーターやカルテルなどの問題に、日本損害保険協会会長としても対応に当たったあいおいニッセイ同和損害保険の新納啓介社長。特集『生保・損保・代理店の正念場』(全31回)の#23では、営業先への過度な支援の習慣や政策株、社内の評価制度についてどのように改革を進めるのか、話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

企業革新推進委員会を設置
対話ベースで改革進める方針

――業務改善計画を提出し、会社の風土や業務の慣習を変えるための取り組みを損保各社が始めました。今、どのように社内で取り組まれていますか。

 当たり前のことですが、業務改善計画は出して終わりではありません。ここからがスタートです。やり始めて足りないところなど、いろいろなことに直面しますので、その都度追加の策を入れていく必要もあると思っています。また金融庁の有識者会議などでも議論が始まっていますので、業界として取り組むこと、個社として取り組むことがそれぞれ出てくると思います。

 社内で今言っているのは、社員一人一人が変わらないと、会社は変わらないということです。業務改善計画の施策を進めるために、社長直下に企業革新推進委員会をつくりました。

 現場との距離感が出ないように、現場に寄った位置付けにして、地域の担当の社員が委員会に出席するか、あるいは委員会メンバーが現場に出向いていく取り組みをしようと考えています。また第三者の方にも入っていただき、損害保険の常識が世間の非常識になっていないかどうか、ご指摘を頂こうと思っています。

 なぜこれをやるかというと、現場で起きていた問題を、経営が把握できていなかったからです。現場も経営に対して、問題だと感じたことを言えるようになって、対話が生まれる姿を目指していく必要があります。

先頭に立って改革を進めると語る新納社長。次ページでは業界慣習として定着している顧客企業への本業支援、大手自動車会社も含めた親密先企業の政策株の売却、社員に対する評価制度などについて語ってもらった。