
損害保険代理店として起業した後、損保代理店の統廃合の波に乗り、自らがプラットフォーマーとなって、現在600近い損保代理店を買収し、拡大してきたエージェント・インシュアランス・グループ。損保代理店だけでなく、2024年には生命保険系大手乗り合い代理店のファイナンシャル・ジャパンを買収し、規模拡大を加速させている。特集『保険大激変』の#27では、エージェントの一戸敏社長にこれまでの軌跡や大型買収を決断した背景、今後の戦略について話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)
約600の損保代理店を買収
生保系FJのM&Aで急成長
――これまで多くの損害保険代理店を買収することで業容を拡大してきました。いつごろからそういったビジネスモデルになったのでしょうか。
1996年に個人で損保代理店として事業をスタートし、しばらく一人で損保を販売していましたが、2000年を過ぎたあたりに来店型保険ショップが誕生し、乗り合い代理店の時代がやって来ました。
自ら代理店網を拡大するには多額の資金が必要になり、そう簡単にできるものではありません。折しも、損保代理店業界は業界再編がテーマとなっていましたので、損保代理店の整理・統合に合わせて仲間を増やしていこうと考えました。その話に真っ先に賛同してくれたのが、東京海上日動火災保険です。
そこで、全国の営業拠点を行脚し、プラットフォームを整えていきました。事業承継を必要とする損保代理店の受け皿となり、現在では累計で600近い損保代理店のM&Aを行っています。
――かねて損保代理店の統廃合が問題になっています。また、代理店には体制整備も求められており、こちらも課題となっています。
損保代理店の買収で成長を続けてきたエージェントだが、22年に株式上場を果たし、24年には生命保険系の大型乗り合い代理店ファイナンシャル・ジャパン(FJ)を買収した。次ページでは、その真意と狙いを一戸社長に明かしてもらった。