保険大激変 損保の構造的課題が生保にも飛び火!#30Photo by Akio Fujita

長らく損害保険代理店が損保会社に対して不満を募らせている、代理店手数料ポイント制度。その不満が爆発し、2023年7月に多くの損保代理店が公正取引委員会に集団申告を行ったが、今回は不発に終わった。特集『保険大激変』の#30では、その背景と今後の動きを探った。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)

手数料ポイント制度の
公取委への集団申告は不発も

 2025年2月14日、大阪市内で開催された「代理店手数料ポイント制を考える会」は、ほろ苦い会合となった。公正取引委員会からの回答が、つれない内容だったからだ。

 今から約1年8カ月前の23年7月21日、手数料ポイント制度が損害保険会社による優越的地位の濫用に当たるとして、公取委に申告を行った。申告人に名を連ねたのは、損保プロ代理店や損保社員など264人に上る(後に300人近くにまで拡大)。

 これまで手数料ポイント制度によって、大規模代理店が優遇されてきた一方で、地元に密着した営業活動を行っている比較的小規模な損保代理店は冷遇されてきた。まさに、多くの損保代理店の不満が爆発した瞬間だった。

 だが、24年12月23日にようやく届いた公取委からの回答は、すげないものだった。

「これまでの情報では、独占禁止法上の問題とすることは困難ですので、措置は取りません」

 回答は、この1文のみ。公取委への申告は裁判と異なり、「判断に至った理由や審査の過程などは一切明らかにされないものだ」と、申立人の代理人弁護団の一人である関西合同法律事務所の喜田崇之弁護士は言う。

 この回答だけでは一見、取り付く島もないように見える。だが、喜田弁護士をはじめ、同会の世話役で兵庫県立大学客員研究員の松浦章氏や、参議院議員に復帰して同会に登壇した大門実紀史氏は、「これで終わったわけではない」と言う。

 どういうことか。その理由や今後の方向性について、次ページで詳述しよう。