保険大激変#25Photo by Yoshihisa Wada

日本生命保険が介護事業大手のニチイホールディングスを買収して半年が経過した。非保険事業の買収としては過去最大規模で、生保各社はその成否に注目している。特集『保険大激変』の#25では、日本生命側の担当者である佐藤和夫専務執行役員に、シナジー発揮への取り組みはどの程度進んだのかについて、話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫、構成/ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

非保険分野への本格進出
国内保険事業とのシナジーは?

──ニチイホールディングスを買収して半年が経ちました。佐藤専務は当初から担当していますが、日本生命保険との融合は進んでいますか。

 国内の保険事業以外の投資の意味は、保険事業に資することか、あるいは収益が得られることのどちらかです。ニチイの買収はどちらかというと、海外事業のように収益を得ることが大きな目的ではありません。グループ内では、日本生命の保険事業に資する事業として位置付けられます。

 ニチイには、日本生命の国内の保険事業では得られないお客さまの基盤を持っています。日本生命はニチイをグループ化したことで、将来的にそのお客さまにアプローチできるようになります。実際に、生命保険事業にどのような形で資するのか、広範なシナジーがどのように生まれるのかを考えなければなりません。

 買収した2024年6月に、最初にニチイの幹部には、ニチイのお客さまの基盤を広げてほしいと伝えています。お客さまを拡大することによって、日本生命の営業職員との接点が、より広がるだろうと考えています。

 ニチイは介護や保育などすでに顕在化しているニーズに直接的にサービスを提供する会社です。日本生命とは、共に社会的課題を解決する会社として、有形無形のシナジーが生まれると考えています。

──ニチイの幹部や従業員にとっては、全く違う企業文化の企業に買収されたので、戸惑いもあるのでは。

佐藤専務はグループ化して以降、自らニチイの現場に足を運び、実際にエプロンをして業務を経験するなど、業務内容や企業文化の理解に努めてきたという。ニチイが日本生命グループの成長に貢献する道筋を、どの程度つくれたのだろうか。次ページで詳しく話を聞いた。