こここからはひとつの「仮説」として聞いていただきたい。これはあくまで「カジノ」をめぐる政治的状況などからの推測に過ぎないが、「警察官のオンラインカジノ汚染」から国民の関心を遠ざける狙いもゼロではないのではないか。

 実はオンラインカジノにハマっているのは、芸人やプロ野球選手だけではない。

 高比良くるまさんらの事情聴取を「毎日新聞」がスクープした2月14日の前日、大阪府警の警察官2人がオンラインカジノをして書類送検されていたと報じた。2人は減給10分の1(1カ月)の懲戒処分を受けていたが大阪府警はこの事実を公表していなかった。NHKが府情報公開条例に基づく開示請求をして明らかになったのである。

 実は大阪府警のオンラインカジノ汚染は氷山の一角だ。昨年2月にも、福島署の男性巡査長がギャンブルでつくった借金を返済しようとして、オンラインカジノに手を出したとして書類送検されている。(時事通信社 24年02月28日)

 これは全国的なもので昨年10月には、長野県警の男性巡査がオンラインカジノのスポーツ賭博やバカラで数百万を賭けたとして書類送検されている。(NHK 24年10月18日)

 ちなみに、高比良さんの報道で大騒ぎになっていた先週21日も、福岡県警で40代の男性警部補がオンラインカジノをしたとして書類送検されている。(NHK 2月21日)

 では、もし今月頭からの「吉本芸人がオンラインカジノで事情聴取されている」という報道や、高比良くるまさんの活動自粛報道がまったくなかった場合、社会の論調はどんなことになったか想像していただきたい。

 大阪府警と福岡県警で相次いでオンラインカジノ不祥事が報道されたら、国民は「おいおい、オンラインカジノを取り締まる側の警察官がこんな調子で大丈夫かよ?」という批判的な声が盛り上がるというのは容易に想像できよう。

 これは全国警察組織を統括する警察庁としては絶対に避けたい。しかも、これからの時期は、警察は「カジノ汚染」に最も神経を尖らせなければいけない大事な時期だ。