
農協の経営を安定させるには、農業関連事業を黒字化することが極めて重要だ。その鍵を握るのが、国内最大の農業商社、JA全農である。ところが、全農は2024年産のコメ集荷競争で商社に敗れたり、肥料などの価格競争力を発揮できなかったりと失策続きだ。特集『JAグループ崩落』の#9では、農協役職員アンケートで分かった、全農の農産物の販売力や、肥料などの供給力への満足度を明らかにする。また、農協役職員が全農に求める改革の具体策も示す。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)
農協からの期待はNo.1だが
根深い問題山積のJA全農を大解剖
「JA全農はインフレ局面で稼ぐ会社だ。今回のインフレで得る利益を農協の再建のためにぜひ投資してほしい。最後のチャンスかもしれない」。ある全農OBが真剣な表情で語る。
全農は、米卸や青果卸、ガソリンスタンドと同様、インフレ局面では値上げをしやすく、収益が改善する傾向があるという。
他方、JAグループの他の全国組織は元気がない。2024年度、1.9億円の赤字に沈む農林中央金庫はその典型だ。
となると、全農への期待がいや応なしに高まることになる。実際、ダイヤモンド編集部の農協役職員アンケート(有効回答248)でも、全農に対する期待が大きいことが分かった。詳細は、本特集の#10『【農協役職員が期待するJA組織ランキング】首位は意外な連合会…低迷するJA全中、県中央会は回答者の6割が「不要」』(3月13日〈木〉配信予定)参照。
では、全農は、農協からの期待に応えられているのか。また、JAグループの改革の旗手となるためには、どのような全農改革が必要なのだろうか。
次ページでは、アンケートで分かった、全農の農産物の販売力や、肥料・農薬の供給力への満足度を明らかにするとともに、農協役職員が全農に求める改革の具体策を大公開する。